映画『梅切らぬバカ(2021)』についてです。
映画『梅切らぬバカ』は、自閉症の息子と母親の絆と深い愛を描いた作品です。
主人公家族が周囲の人々とトラブルを起こしながらも、地域社会との関係を深めながら成長する様子が描かれています。
本記事では、
- 映画『梅切らぬバカ』は実話なの?
- 社会問題や実例は?
- タイトルの意味は?
についてご紹介しています。
映画『梅切らぬバカ』の作品情報
作品概要
作品名 | 『梅切らぬバカ』 |
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公開日 | 2021年11月12日 |
制作国 | 日本 |
上映時間 | 77分(1時間17分) |
監督 | 和島香太郎 |
主演 | 加賀まりこ・塚地武雅 |
ストーリー
物語は、自閉症児の親子を巡り、様々な人々が織り成すドラマや対立を中心に展開します。
主な登場人物(キャスト)
- 山田珠子(加賀まりこ)……自閉症の息子をもつ母親。占い師の仕事をしている。
- 山田忠男(塚地武雅)……自閉症の大人。
映画『梅切らぬバカ』は実話?
映画『梅切らぬバカ』の出来事や登場人物はフィクションです。日本が抱える社会問題・監督の経験に基づいて創作されました。
以下に、映画と事実(実話)との関係について詳しく解説します。
実話と映画の関連性は?
1. 監督の経験が生きている
映画『梅切らぬ馬鹿』を作るにあたった切欠について、和島香太郎監督がインタビューに答えています。
“とあるドキュメンタリー映画に編集として関わった経験”が反映されているとのことです。
以下、引用です。
映画『梅切らぬバカ』公式サイト数年前、あるドキュメンタリー映画に編集として関わった経験が反映されています。
自閉症の男性の一人暮らしを描いた映画です。膨大な量の映像素材には、福祉サービスの方や親族との交流が記録されていました。
しかし、隣家の人が写りそうになると、それを避けるようにカメラがブレる。その人は度々苦情を言いに来る方でした。
自閉症を原因とする予測のつかない言動によってトラブルが繰り返されており、隣家との関係は良好ではなかったのです。
しかし、男性が地域の中で孤立していることは見逃せませんでした。
近隣住民の視点を取り入れるために取材を申し込んだこともありますが、出演は断られ、カメラを向けることはできませんでした。
こうした軋轢について、男性のお母様はどのように向き合ってきたのか。すでに他界されていたのでお話を伺うことはできませんでした。
ですが、フィクションであれば近隣住民との軋轢や、出会えなかったお母様の本音を表現できるのではないかと思いました。
共生への願いも含まれていますが、押しつけがましくならないように、ささやかな出来事の積み重ねを描きました。
母親の珠子が、自身が他界したあとに残される息子について思い悩むストーリーと通ずるものがあります。
2. 【社会問題】自閉症の子どもを持つ親の困難
映画での人間ドラマや対立は、地域社会の中に実在している価値観や感情の衝突が描かれています。
1. 社会的偏見と孤立
自閉症に対する社会的な偏見や誤解は根強く残っています。
これにより、親は子どもに対して周囲からの偏見や差別を目の当たりにすることがあり、精神的な負担を感じます。
また、周囲とのコミュニケーションが難しくなることが多く、孤立感を深めることもあります。
親は子どもに適した支援を求めつつ、周囲との関係を築くのが難しいと感じることがあります。
2. 支援とサービスの不足
自閉症に対する支援やサービスが地域によって不均等であるため、親は適切な支援を受けるために多くの時間と労力を費やさなければならないことがあります。
また、専門的な支援が必要な場合、費用の問題やサービスの利用条件が厳しい場合もあり、経済的な負担も大きいです。
3. 育児と家庭生活の負担
自閉症の子どもは特別な育児や教育が必要なため、親は通常の育児以上に時間とエネルギーを要します。
例えば、感覚過敏や行動の問題、コミュニケーションの難しさに対処するために、親は特別な対応策やスケジュールを組む必要があります。
このような負担が家庭内の他の活動や家族関係にも影響を及ぼすことがあります。
4. 将来への不安
自閉症の子どもの将来についての不安も大きいです。
教育や社会での自立、成人後の生活など、長期的な見通しが立てにくいことから、親は常に将来への心配を抱えています。
特に、子どもが自立した生活を送れるかどうかや、支援が適切に続けられるかどうかについて不安を感じることが多いです。
5. 心理的なストレス
これらの困難が重なることで、親自身がストレスや不安を感じることが多いです。
3. 問題解決の難しさ
映画『梅切らぬ馬鹿』では、自閉症の親子を通じて、地域社会に対する影響や、人間関係の複雑さを浮き彫りにしています。
現実的な問題に対し、映画内でも根本的な問題解決に至っていません。
観客に向けて、道徳的な教訓や人間行動への洞察を提供しています。
自閉症に纏わる悲しい事例は?
1. 相模原障害者施設殺傷事件の事例(2016)
2016年7月に起きた、相模原障害者施設殺傷事件(津久井やまゆり園)の事例です。
事件で長男を失った70代母親は、悲しみよりも先に案緒したといいます。
その理由は、もう世間に頭を下げずに済むと思ったからでした。(障がいの種類は不明)
2. 殺人未遂容疑の事例(2018)
2018年1月に起きた殺人未遂容疑の事例です。
50代父親が、自閉症の息子を刺したと110番通報しました。
彼は25年間面倒を診てきたなかで、うつ病を抱えていました。
3. 福岡・障害児監禁事件の事例(2022)
2022年に起きた、福岡・障害児監禁事件の事例です。
頼るところがない親を対象に、障害児支援施設を運営していた元理事長。
人格を無視した手荒な方法で、障がい児たちを施設まで運び監禁していました。
注目すべきは、元理事長の事件発覚後、約1か月半の間に、利用者681人にのぼる情状酌量を求める声が集まったことです。
療育施設が人員不足から閉所し、自閉症の息子の面倒を1人で診ることを余儀なくされた母親も、この施設の利用者でした。
彼女は心身ともに疲れ果て、良からぬことが頭をよぎるようになった頃、元理事長の施設を知り預けました。死ぬ前にできることと考えれば、週100万は安い金額でした。
それぞれ、障がい児親子が追い詰められた末の悲劇でした。
タイトル『梅切らぬバカ』の意味
映画『梅切らぬバカ』のタイトルは、「梅切らぬ馬鹿 桜切る馬鹿」という日本の諺からきています。
諺(ことわざ)の意味は?
この諺は、「木の手入れには適切な方法があり、それを守らないと木にとって悪い結果を招く」という教訓を伝えています。
梅の木を切らないことも、桜の木を過剰に切ることも、どちらも木の健康や生育に悪影響を与える行為とされています。
つまり、「適切な手入れをしない」「やり過ぎる」といった行為は、それぞれの木にとって不適切であることを意味しており、そのための知識や技術が重要であるということです。
現代的な解釈は?
この諺は、単に木の手入れにとどまらず、一般的な知識や適切な判断力の重要性を教えるものとも解釈できます。
何事も適切に管理することが大切で、過剰な行動や怠慢は逆効果であるという教訓が込められています。
このように、「梅切らぬ馬鹿 桜切る馬鹿」は、物事のバランスと適切な管理の重要性を説く知恵の言葉です。
映画『梅切らぬバカ』実話についてまとめ
映画『梅切らぬ馬鹿』は、実際の出来事や実在の人物(実話)に基づいたものではなく、現実問題をとりあげたフィクションです。
感情豊かなキャラクターたちと、主演の見事な演技力が特徴的で、深い感動をもたらしました。
社会全体での支援と理解が、自閉症の子どもとその家族の生活をより良いものにするためには重要です。
自閉症を持つ子どもを育てる親の苦悩は深刻で多面的ですが、理解と支援が進むことで、映画のようのに少しでも軽減されることが期待されます。
社会全体での理解と支援の充実が、これらの課題を解決する鍵となるでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
この記事を書いた人 Wrote this article
プティ
卵肌のライター。