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映画『トゥルーノース』についてです。
いわれのない罪で北朝鮮強制収容所行きになった家族の物語です。
作中で素晴らしい人間性を見せた主人公「ヨハンのその後」について無性に気になってしまいますよね。
本記事では、
- 実話なのか
- ヨハンのその後
- ヨハンの最後(ラストシーン)の意味
について、実話を参考にして考察しています。
映画『トゥルーノース』の作品情報
作品名 | 『トゥルーノース』 (原題:『True North』) |
---|---|
公開日 | 2021/6/4 |
制作国 | 日本・インドネシア |
言語 | 英語 |
上映時間 | 94分(1時間34分) |
監督 | 清水ハン栄治 |
- 長編アニメ部門グランプリ受賞/ナッシュビル映画祭
- フリースピリットコンペティション審査員特別賞受賞/ワルシャワ国際映画祭
- 長編部門特別優秀賞受賞/プチョン国際アニメーション映画祭
※清水ハン栄治監督は、在日コリアン4世です。
映画『トゥルーノース』のあらすじ・ストーリー紹介
引用元:映画『トゥルーノース』公式サイト│sumimasen絶望の淵で、人は「生きる意味」を見つけられるのか?
1960年代の帰還事業で日本から北朝鮮に移民した家族の物語。
平壌で幸せに暮らすパク一家は、父の失踪後、家族全員 が突如悪名高き政治犯強制収容所に送還されてしまう。
過酷な生存競争の中、主人公ヨハンは次第に純粋で優しい心を失い他者を欺く一方、母と妹は人間性を失わず倫理的に生きようとする。
そんなある日、愛する家族を失うことがキッカケとなり、ヨハンは絶望の淵で「人は何故生きるのか」その意味を探究し始める。
やがてヨハンの戦いは他の収監者を巻き込み、収容所内で小さな革命の狼煙が上がる。
映画『トゥルーノース』は実話を基にしたフィクション
映画『トゥルーノース』は実話ではありません。
事実に基づいたフィクションです。
清水ハン栄治監督が、「北朝鮮収容所の現状」を伝えるために、脱北者・元看守など関係者への取材を行いました。
その実体験がモデルとなっています。
怖い実話1:「連座制」
北朝鮮の「連座制」とは、
“罪を犯したら、家族三代(両親・祖父母・孫)連帯責任になる”という制度。
例えば、脱北を計画したり映画を観たりすることも「罪」とされてしまいます。
さらに「収容者は、自分の罪について尋ねてはいけない」というルールもあります。
つまり、一度捉えられたら最後、冤罪を晴らす方法はありません。
そのせいで、家族に迷惑をかける罪悪感で苦しんだり、恨まれたり恨んだり……。
「連座制(れんざせい)」は、とても怖い制度です。
映画『トゥルーノース』の物語は、「ヨハンの父親が政治犯として捕まり、
連座制により、家族全員がトラックで強制収容所に運ばれてしまう」ところから動きだします。
怖い実話2:映画の出資者が集まらない
本作『トゥルーノース』は社会意義のある作品ですが、「危険だから」という理由で、中々出資者が見つからず、スタートが5,6年遅れてしまったそうです。
……その結果、自己資金での制作となりました。
ちなみに、なぜアニメーション映画にしたかといえば、実写では残酷になりすぎてしまうからだそうです。
映画の完成までに、約10年の制作期間が費やされました。
その脅威は海外にまで及んでいます。
映画『トゥルーノース』ヨハンのその後はどうなった?ネタバレ考察
1:ヨハンのその後は「終身刑」
調べてみたところ、ヨハンに刑期はありません。
つまり“終身刑”と同義です。
何故かというと、ヨハンは妹たちを脱北させたその後、“完全統制区域”に送られたからです。
一生外に出ることができない区域。
更生の可能性はない「絶望種」とされる人間が収容される。
「一生強制労働」が待っている――最も劣悪な環境とされている。
これらのことから、ヨハンはその後、
「妹が脱北を計画した」「収容所の最高権力者・ハン所長を告発した」などの罪に問われ、拷問の末に“完全統制区域”へ送られた
ということが分かります。
2:その後、ヨハンが完全統制区域からの脱北することはほぼ不可能
調べてみたところ、北朝鮮強制収容所からの脱北は不可能――といわれているようです。
そもそも、“革命化区域”にいる収容者たちでさえ、そのほとんどが施設内で亡くなるのだそう。
しかし僅かな希望はあります。ヨハンが洗脳状態にないからです。
「完全統制区域」から脱北した実例2件をご紹介します。
※「完全統制区域」の囚人たちには、反乱や革命を起こすという考えはないそうです。
何故なら、洗脳状態にあるからです。
実例1:洗脳が解けた囚人
1982年に「完全統制区域」で生まれた、シン・ドンヒョクさんによる実話です。
シン・ドンヒョクさんは、海外からきた囚人から、“強制収容所の外の世界”の話を聞きました。
外の世界を知ったことで、洗脳が溶けました。
2005年1月、木の伐採の作業中、シン・ドンヒョクさんと海外からの囚人の二人で作戦を決行しました。
しかし、先に逃げた海外からの囚人が有刺鉄線で感電で亡くなってしまいます。
彼の遺体によってできた通り道を、シン・ドンヒョクさんがくぐり、命からがら脱北しました。その後、シン・ドンヒョクさんは、人権活動家となり活躍されています。
実例2:洗脳が解けた看守
元保衛員として8年間強制収容所に勤めていたアン・ミョンチョルさんによる実話です。
※驚くべきことに、看守も洗脳状態にあり、囚人たちを残酷に扱うことに対し罪の意識がないのだそう。
ある日、アン・ミョンチョルさんは、運転兵となると、囚人たちと会話する機会が生まれました。自分の罪さえ知らないという彼らの話に違和感を覚え、洗脳が溶けます。
そして1994年9月、中国との国境を流れる川を渡り、ついに脱北しました。
因みに、看守が囚人に力を貸すことが難しい理由として、
“囚人に同情すると「国家への裏切り」として処罰の対象になる”
という規則が挙げられます。
そのため残酷にならざるをえないのだそう。
彼らの命は、看守の気分次第なのです。まるでリアル王様ゲームですね!
まとめると、やはりヨハンがその後、生きて脱北するのは厳しそう。が、洗脳状態にないため可能性はゼロではない――ということです。
【トゥルーノース】最後の意味は?―ネタバレ考察
“ヨハンは絶望的な状況のなかでも、希望をもち続けている”というメッセージが込められていると思います。
ヨハンはラストシーンで、隣人に
出典元:映画『トゥルーノース』│sumimasen「希望を捨てるな」
と語りかけていました。
他人を気遣うメンタルがあることに驚かされます。きっと、妹夫婦を逃した彼の成功体験がヨハンを強くさせるのでしょう。
シン・ドンヒョクさんが“完全統制区域”から脱北成功させたのも、希望を持ちつづけたからでした。
ヨハンも、“きっと、俺もいつか外に出る――”そんな希望を胸に働いていることでしょう。
映画『トゥルーノース』のタイトルの意味は?
清水ハン栄治監督によれば、映画のタイトル『トゥルーノース』の意味はふたつあります。
- 「北朝鮮の現実」
- 「どんなときでも人間として向かわなくてはいけない方向、生きる目的」
です。
【トゥルーノース】ヨハンのその後について考察まとめ
本記事では映画『トゥルーノース』についてまとめてみました。
考察したところ、
- 実話なのか……実話ではない。事実に基づいたフィクション。
- ヨハンのその後……完全統制区域で亡くなる可能性が高い。
- ヨハンの最後(ラストシーン)の意味……ヨハンは強制収容所のみんなを励ましながら、希望をもって働いている。
という結果となりました。
「希望」を持つことは、唯一残された自由なのかもしれません。
希望は人を強くさせます。いまこのときも、誰かが切実に願っていることでしょう。
映画『トゥルーノース』によって北朝鮮収容所の現状が周知され、未来が良い方向に向かうことを願って……。
最後までご覧いただきありがとうございました。
またどこかの作品でお会いできれば幸いです。