グリム童話『ラプンツェル'(初版)』についてです。
『ラプンツェル』は、ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』の原作として知られています。
本記事では、
- グリム童話『ラプンツェル初版』のあらすじ(簡単に・詳しく)は?
- 『ラプンツェル』の元ネタ『ペトロシネッラ』とは?
- 怖い点は?
- 原作との違いは?
について分かりやすくまとめてご紹介しています。
原作『ラプンツェル(初版)』基本情報
作品名 | 『ラプンツェル』 |
---|---|
出版年 | 1812年(『子どもと家庭のためのメルヒェン集』) |
言語 | ドイツ語 |
作者 | グリム兄弟(ヤーコプ・グリムとヴィルヘルム・グリム) |
原作『ラプンツェル(初版)』あらすじ簡単に
とある夫婦が、妖精の庭からラプンツェルを盗みます。
罰として妻の子が生まれたら妖精に与える約束をします。
赤子は「ラプンツェル」と名付けられ、高い塔に閉じ込められ育ちます。
ある日、若い王がやってきて美しいラプンツェルを見つけます。妖精と同じ方法で、彼女の長い髪を梯子がわりに使い会いにいきます。
やがてふたりは愛し合うようになります。
しかし妖精に妊娠がばれると、ラプンツェルは荒野に追放されます。
その事実を聞かされた王は、ショックのあまり塔から身を投げ、盲目になりました。
時を経て、ふたりは荒野で再会。ラプンツェルの涙で王の視力は回復。みんなで王国に戻り幸せに暮らしました。
原作『ラプンツェル(初版)』怖いあらすじを詳しく
ある夫婦が子供を望んでいました。
とうとう身籠った妻は、隣の庭で妖精が育てている「ラプンツェル」という美味しそうな植物を食べたいあまりにやせ細ってしまいます。
※「妖精(Fee)」……第2版では「魔法使いの女(Zauberin)」に改変される。
妻に訳を聞いた夫が(“食べなければ死んでしまうわ”)、夜中に庭へ忍び込んでラプンツェルを摘み取ります。
妻はさらに欲しがりました。そのため、夫は再び庭へ忍び込みます。
しかし妖精に見つかってしまいます。夫は、見逃してもらうかわりに妻の子供を与えるという約束を受け入れてしまいました。
その後、妻は出産しますが、妖精は約束通り奪い去ってしまいます。
ラプンツェルと名付けられた少女は、美しく育ちました。12歳になったとき、妖精は彼女を高い塔に閉じ込めて育てました。
ある日、若い王が塔の近くを通りかかり、ラプンツェルの美しい姿と歌声に惹かれます。
※「若い王」……第3版では「王子」に改変される。
妖精がラプンツェルの髪を梯子がわりに使うのと同じ方法で、塔に上ります。
二人はふたりは逢瀬を重ね、愛し合うようになります。
妖精はその関係に気づくと(“名づけ親のおばあさん、わたしの洋服がきつくなったのはどうして”)、ラプンツェルの髪を切り落とし、荒野に追放していしまいます。ラプンツェルは男女の双子を生みました。
※(“名づけ親のおばあさん、わたしの洋服がきつくなったのはどうして”)
……第2版では(“おばあさんを引っ張り上げる方が、若い王と比べて重いのはどうして”)
王がラプンツェルに会いにきたとき、妖精に事実を告げられました。王はショックのあまり、塔から身を投げました。茨が突き刺さり、盲目になってしまいます。
王は泣く泣く、木の実などを食べて森で過ごしました。
時は過ぎ、王はラプンツェルのいる荒野にたどり着きます。二人は再会し、ラプンツェルの涙によって、王は視力を取り戻します。
みんなで王国へ戻り、幸せに暮らすことになりました。
参考:翻訳 グリム兄弟の『子どもと家庭のためのメルヒェン集』の編纂ストラテジー
『ラプンツェル』の元ネタは『ペトロシネッラ』!
グリム童話「ラプンツェル」は、伝承されるのと共に少しずつ形を変えてきました。
「ラプンツェル」の元ネタは「ペトロシネッラ」という昔話でした。
2作品の主な違いとしては、
- 盗む植物は、「ラプンツェル」ではなく「パセリ」。(※パセリを盗むのは妻自身。)
- おばあさんは「妖精」ではなく「鬼女」。
- ペトロシネッラの胸にパセリ型のあざがある。
- ペトロシネッラは、7歳になると学校へ通う。
- 魔女がペトロシネッラを連れ去るタイミングが違う。
- 王子との密会がバレる手段が違う(塔にいる召し使いが鬼女に密告)。
- あの描写はない(ペトロシネッラが荒野に追放される・王が身を投げ盲目になる・ペトロシネッラが赤子を生む)。
- 王子とペトロシネッラは鬼女を撃退する(3つのどんぐりを使って犬・虎・狼を出し、魔女を撃退する)。
となります。
どこが怖い?
ラプンツェル(初版)
- 親が自分たちの身を優先し、子ども(ラプンツェル)を差し出すのが怖い
- 性の知識がない(妊娠も分からない)少女と若い王が夜の営みに励んでいたのが怖い
- 茨に突き刺さって、盲目になる描写が怖い
ペトロシネッラ
- ペトロシネッラ(ラプンツェル)が連れ去られる描写が怖い
鬼女が学校に通う少女に伝言を託し、母親に圧をかける
↓
とうとう母親が娘に「勝手にもっていきな」と鬼女への伝言を託す。
↓
ペトロシネッラが伝言を伝えると、鬼女に髪の毛を引っ張られて連れていかれる。
これらの描写は子ども向きではないからでしょうか、ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』では、カットされていることが分かります。
【ラプンツェル】原作との違いは?(※初版)
最後に、映画『塔の上のラプンツェル』と原作の違いをご紹介します。
原作との違い1:おばあさんの属性
原作:おばあさんは妖精。
映画:おばあさんは魔女
原作との違い2:ラプンツェルとおばあさんの関係
原作:ラプンツェルは妖精を名付け親だと理解している
映画:ラプンツェルは魔女を母親だと誤解している
原作との違い3:ラプンツェルを奪う理由
原作:ラプンツェル(植物)をあげる代償として。
映画:ラプンツェルの髪の毛に宿った、若返りの力を手に入れるため。
原作との違い4:王家の子なのは…?
原作:王家の子はヒーロー。
映画:王家の子はラプンツェル。
原作との違い5:ヒーローの属性
原作:ヒーローは「若い王様」。
映画:ヒーローは「お尋ね物の大泥棒(オリジナルキャラクター)」。
原作との違い6:高い塔から出る理由
原作:おばあさんに密会がバレたれたたから。
映画:外の世界に憧れを抱いていたから。
以上の結果となりました。
高い塔を出てからは、
映画ではオリジナルの展開が続きます。
この物語『ラプンツェル』は、世代を超えて、多くの人々に愛されています。
ラプンツェルの原作が怖い・違いについてまとめ
今回は、ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』の原作『ラプンツェル』について調査しました。
まとめると、
- 原作の怖さ……我が子より自分の身を優先する親、性知識のない少女との夜の営み、若い王が盲目になる描写
- 原作の元ネタ……昔話『ペトロシネッラ』
- 映画と原作との違い……ヴィランの属性・ラプンツェルとおばあさんの関係・ラプンツェルを奪う理由・王家の対象・ヒーローのキャラクター
という結果になりました。
以上、ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。