映画『プラットフォーム2(2024)』についてです。
前作『プラットフォーム1』の続編です。
殺すか殺されるか?!――社会の不平等が映し出す恐怖は、まさにディストピアスリラー!
本記事では、
「最後の意味は?どういう意味?」
「ザミアティンや老人やゴレン……なぜ生きてるの?」
「なぜライター?」
などについて考察・解説しています。
映画『プラットフォーム2』の作品情報
作品名 | 『プラットフォーム2』(原題:El hoyo 2) |
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公開日 | 2024年10月4日(日本) |
制作国 | スペイン |
上映時間 | 126分(1時間 39分) |
監督 | ルデル・ガステル=ウルティア |
主演 | ミレナ・スミット |
映画『プラットフォーム2』あらすじ・ストーリー紹介
物語の舞台は、前作に引き続き、謎の縦型構造の施設「プラットフォーム」。
各階には2人ずつ収容されており、最下層に近づくにつれ食糧は届かなくなっていく。
そこには、独自の法が存在しており、絶対に破ってはならない。
人々は生き残るために、残酷な戦いを繰り広げていく――。
映画『プラットフォーム2』主な登場人物
- ペレンプアン…本作の主人公。
- ザミアティン…24階でペレンプアンと同室だった男。
- 女…55階でペレンプアンと同室だった女。
- メシア…プラットフォームに新たな法を作った男。「マスター」「独立の父」とも呼ばれる。
- 老人…『プラットフォーム1』で主人公と同室だった男。(映画『プラットフォーム1』では、名を「トリマガシ」。)
映画『プラットフォーム1』からの変化
『プラットフォーム1』では、「管理局が定めた法」に従っていました。
食糧は上から下に降ろされていくため、下の層で連続して目覚めることは死を意味していました。
『プラットフォーム2』では、ある男による「新たな法」が存在しています。
しかし秩序は保たれず、争い・憎しみにまみれています。
1が「食うか食われるか」なら、2が「殺すか殺されるか」という恐怖があったと思います。
舞台はファンタジーですが、そこにある人間の欲望や行動心理はとてもリアルだと思います。
【関連記事】『プラットォーム1』映画考察:ミハルがアジア人な理由・死亡説・結末は何が言いたい?
解説:『プラットフォーム2』の法(ルール)は?
1.管理局が定めた穴の法(ルール)は?(※従来のルール)
- ひとつ好きな食べ物をリクエストできる。
- ひとつだけ道具を持っていける。
- 時間内に自分たちの階層に食べ物が残っていたら死亡する。
(炎で燃やされる。※毎回同じケースで殺されるか不明) - 収容される期間は人それぞれ。
- ひと月ごとに階層がチェンジする。
(同室のメンバーは変わらない。もし亡くなっていれば入れ替わる)
因みに、別の層に降りても罰則はなしのようです。
または、単に気づかれていないのかもしれませんね……。
2.穴の住人たちが作った独自の法(ルール)は?
- 自分のリクエストした食べ物しか食べたらだめ。
- 食べ物を誰かのと交換するのはあり。
- 誰かの食べ残しを食べたらだめ。
- 伝言を下まで伝えなければならない。
- とある階層Aの住人が他の食べ物を食べたら、その二つ上の階層4人が階層Aの人物を裁く。
- もし階層Aで伝言が途絶えていれば、その二つ上の階層4人が階層Aの人物を裁く。
映画『プラットフォーム2』考察3選!
考察1:最後の意味は?なぜ老人が生きてるの?
前作の『プラットフォーム2』と『プラットフォーム1』の時系列が入り組んでいるからです。
(※全体的に『プラットフォーム2』が先)
実は、老人が前作の主人公・ゴレンと同室になったのは10か月目でした。
一方、老人が本作の主人公・ペレンプアンと同室になったのは1か月目のことなのです。
以下に詳しく解説していきます。
1:老人のセリフ
以下、前作『プラットフォーム1』からの引用です。
引用元:映画『プラットフォーム』「最初は72層。そこから26に移り、78、43、11、それから79、32のあと……8層、先月は132層だった。そして今はここ」(老人トリマガシ)
因みに、ペレンプアンが老人と同室になったときは「72層」でした。
1か月目の老人は、例の「包丁」片手に、下がってくる料理に興味津々の様子に見えました。
(因みに、上の層ばかりで気になりました!
老人の運が良いですね!)
2:ペレンプアンの担当面接官
次に、ペレンプアンがプラットフォームに入居する際に、担当した女性面接官についてです。
この女性は、前作『プラットフォーム1』では、ゴレンと同室になった人物とよく似ています。
この面接官の女性は、“自らの行いを後悔してプラットフォームに入居した”と告白していました。
つまり、ゴレンがプラットフォームに入居するより前に、ペレンプアンが入居していたと解釈できます。
『プラットフォーム1.2』のラストシーンが揃っていることから、2作品が終了した頃の時系列は同じ……ということなのでしょう。
『プラットフォーム2』の冒頭~の時系列が先だったのかと思うと、ゾッとするものがあります。
考察2:なぜザミアティンたちが生きてるの?
ラストのザミアティンや同室の女の姿は、亡霊の姿だと思われます。
中盤の彼らの姿は、精神に異常をきたして見ている幻覚かもしれません。理由としては、その時点では、主人公・ペレンプアンは亡くなっていないからです。
また、序盤の老人は生きていますが、終盤の老人は亡霊だと思われます。
理由としては、『プラットフォーム1』で、老人はゴレンに殺されていることが明らかだからです。
また、プラットフォームはひとつではなく幾つか存在しており、「リセット」されるときに人々が入れ替わっている可能性もありそうですね。
考察3:なぜライターを選んだのか?
ザミアティンには、元々「現実逃避」または「自殺願望」があったためと思われます。
この行為は「ガスパン」と呼ばれるものです。
ガスを吸うことで、脳が酸欠状態になり、酩酊状態できもちいい感覚に陥ります。
因みに、実際にそういうゲームが流行ったこともあるようですよ。中毒死した事例は幾つもある危険な行為です。
ザミアティンにとってのライターは、「気持ちよくなりたい、いざというときには死ねる」というお守り代わりだったのではないでしょうか。
何故なら、彼はうそつきだったからです。
本当は妻子を捨てたのではなく捨てられたほうですし、
親から恐れられたのではなく、厄介払いでした。
両親を殺そうとした、というのもウソである可能性が高いと思います。
もし事実なら、「更正ってなんだ!」と怒る必要がないからです。
映画『プラットフォーム2』のネタバレ感想~繰り返す歴史の恐怖~
社会の不公平が生み出す人間の「狂気」を再認識させてくれる映画でした。
争いを生まないために食べ物を捨てる発想も、理解はできます。
ですが、やはり矛盾を感じずにはいられません。
食べてしまった人が殺され、歓喜している姿はもはや人間とはいえません。
裏切られたのは、ザミアティンというキャラクターです。
「スキンヘッドに大柄な体格」「両親を殺しかけた」「肉を大盛りチョイス」「『キレますよ』、と発言する」など冒頭で「要注意人物」の匂いをプンプン漂わせています。
“この男、なにかやらかしそう……”
そう思った観客は多かったのではないでしょうか。
しかし現実は違いました。第一印象から一転、プラットフォームに入ったザミアティンはまるで赤ちゃんみたいでした。
大男も、狂気には抗うことができませんでした。
映画『プラットフォーム2』考察・解説まとめ
本記事では、映画『プラットフォーム2』について考察・解説してみました。
- 最後の意味は?……時系列が入り組んでいる。
- なぜ老人やザミアティンたちが生きてる?……時系列の関係・亡霊・幻覚。
- ライターを選んだのは何故?……現実逃避・又は自殺願望があったため。
という結果になりました。
旬な映画だったので急いで記事にしました。読んでいただけて嬉しいです。
では、またどこかの作品でお会いしましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。