本サイトはプロモーションを含みます
映画『N号棟(2022)』について。
「ラスト(結末)どういう意味?」
「主人公うざい理由?」
以下、自称批評家による、考察・解説。
【N号棟】作品紹介
作品名 | 『N号棟(エヌごうとう)』 |
---|---|
公開日 | 2022/4/29 |
制作国 | 日本 |
上映時間 | 103分(1時間43分) |
監督 | 後藤庸介 |
キャスト | 萩原みのり、山谷花純、倉悠貴、筒井真理子ほか |
後藤庸介監督の映画作品……
『リトル・サブカル・ウォーズ ヴィレヴァン!の逆襲(2020)』『人生の着替えかた(2022)』
など。
【N号棟】あらすじ・ストーリー紹介
引用元:映画「N号煉」公式サイト│「N号棟」製作委員会とある地方都市に、かつて霊が出るという噂で有名な団地があった…。
女子大生の史織(萩原みのり)は、元カレの啓太(倉悠貴)が卒業制作に撮影するホラー映画のロケハンに、興味本位で同行する。
啓太の現在の恋人・真帆(山谷花純)と3人で向かう先は廃団地。廃墟同然の建物を進む一行だったが、そこには今も住人たちがいた。
不思議に思いながらもロケハンを進めようとすると、突如激しいラップ現象に襲われる。
騒ぎが落ち着いたかに見えたその瞬間、優しい声をかけてくれていた住人の一人が、目の前でおもむろに階下へ飛び降り自殺を図る…。
状況を飲み込めずに驚く史織達をよそに、住人たちは顔色一つも変えない。
何が起きているのか理解できないまま、その後も頻発する怪奇現象に襲われる史織たち…。
団地の住人たちは恐怖する3人を優しく抱きしめ、事態を受け入れることで恐怖は無くなると言葉巧みに誘惑してくる。
超常現象、臨死浮遊、霊の出現…徐々に「神秘的体験」に魅せられた啓太や真帆は次第に洗脳されてしまう。
仲間を失い、追い詰められた史織は、自殺者が運び込まれた建物内へ侵入するが、そこで彼女が見たものは、思いもよらぬものだった…!
『N号棟』のテーマは死恐怖症(タナトフォビア)
本作のテーマは「死恐怖症(タナトフォビア)」だ。
冒頭には以下のメッセージが表示されている。
引用元:映画『N号煉』│「N号棟」製作委員会死恐怖症(タナトフォビア)……自分という存在がなくなることに過剰な恐怖を感じてしまう精神症状
――主人公は、死恐怖症の症状に苦しんでいた。夜、寝つけないほどだった。
生死の境にいる母親の存在が影響していると思われる。
【考察】意味不明だけど、ラストどういう意味?
- 死恐怖症の克服
- やはり廃墟だった
結末1:死恐怖症の克服
死恐怖症を克服した、という意味だ。
ラストシーン
ラスト、主人公は母親の生命維持装置をとりはずす。
すると母親の霊(?)が穏やかな表情でいて、娘を抱きしめた。
現実の病院で、看護師たちが廊下をバタバタと走るカットがあることから、同じ時間帯に母親が亡くなっているのだろう。
主人公は、想像のなかで・もしくは魂レベルで母を死に追いやった。
主人公自ら手をくだしたことや、死後にも母の霊が存在していることから、主人公が死恐怖症を克服したのだと分かる。
結末2:やはり廃墟だった
やはり廃墟(幽霊団地)だった、というオチだ。
理由をあげると、
- 自害したはずが生きている。
- その団地は「廃墟」と言われていた。
- 主人公は、ラストに赤い服を身に着けている。
となる。
団地の住人たちの服装の色にはルールがあり、赤・白・黒の三色だ。つまり、主人公も彼らの仲間入りをしたのだ。
主人公たちが話に聞いていた通り、廃墟(幽霊団地)だったということになる。
その証拠に、トイレは汚れ、鳥の死骸は階段に放置されたままだった。
何故か動画を回している住人は、言わずもがな”廃墟”をネタにやってきた先の犠牲者なのだろう。
普段は廃団地になりを潜め、入居者を歓迎するときは集団で現れる――そんな愉快な奴らの仲間入りを果たしたのだ。
――N号棟は廃墟だった。
主人公がうざい理由。
「主人公、うざいってよ」
本作にはそんな声が多い。
その理由は“共感できないから”――の一言に尽きる。
具体例をあげると、
- 「死恐怖症」の症状がある。
- 元カレ(友達の現彼氏)にアプローチ。
- 「入居希望」とはた迷惑な嘘をつく。
- 死人が出てもさほど動じない。あろうことか、遺体をカメラにおさめようとする。
- 友達らを手にかける。
などなど。
女優さんは可愛らしいが、応援しずらい。
むしろ、幽霊団地の住人らのほうが人間らしいとさえ感じたほどだ。
(「宗教にハマる人々」という報道がいくらかされているため、背景や行動心理を想像しやすいかのかもしれない。)
『N号棟』感想
主人公、うざいよ、と思わされつつも、「……で、どうなる?」と続きが気になってしまう。
芸が細かいのだ。
例えば管理人の背中(服)に顔があることで、いちいちギョッとさせられるし、謎のダンスをするシーンでは異様さやリボンに思考を奪われる。
残された謎は多い。
――本作は「考察型体験ホラー」と宣伝が打たれていたという。
今回は紹介した内容のほかにも、考察どころや解釈が複数あることは間違いない。
普段から生死について踏み込んで考えている人からすれば、また新しい発見があるのだろう。
もし映画館で観ていたら、パンフレットを購入したい作品だ。
因みにこの映画、一部では「和製ミッドサマー(2020)」と言われている。
(※映画『ミッドサマー』の日本版)
“宗教めいた村に、若い男女が訪問する”という設定が似ている。
こちらも、様々な考察がされている。
【映画】ミッドサマー(字幕版)を観るなら、アマゾンプライムがオススメ
奇妙さが癖になるので、
宗教ホラーが好きな方にはぜひオススメしたい。
(気まずいシーン、グロいシーン共にあり)
『N号棟』は実話が基になっている
聞くところによると、本作にはモデルとなった事件(「岐阜県富加町幽霊団地事件」)があるようだ。
「岐阜県富加町幽霊団地事件」について簡単に説明すると、
食器棚から食器が飛び出す(不自然な割れ方をする)。
テレビのチャンネルが切り替わる。
コンセント入ってないのにドライヤーが作動する。など。
祈祷師の助言を基に、自費で慰霊碑を建てる。
その後、テレビでも報道される。
その結果、報道陣が押し寄せる。
なかには金儲け目当ての者も多く、
住人達が迷惑する。
原因については、霊によるもの、集団心理、建付けの悪さ……など複数の説がある。
2021年、住人はほぼ入れ替わっている。
……という流れだ。
さらに詳細が気になる方は、 「富加町のポルターガイスト」と検索していただきたい。
当時の事件について細かく説明した記事が幾つかヒットするはずだ。
もしかしたらモデルとなった本事件にも、映画を読みとくヒントが隠されているのかもしれない――。
【N号棟】意味不明/ラスト(結末)/主人公うざい理由/考察まとめ
本記事ではホラー映画『N号棟』について、自称批評家が考察・解説した。
- 結末(ラスト)の意味…… 主人公は死恐怖症を克服した・主人公はN号棟の住人となった・N号棟は廃団地だった。
- 主人公がうざい理由……共感・応援しづらいから。
- 基となった実話……岐阜県富加町幽霊団地事件。
以上の結果となった。
では、またどこかの作品でお会いしよう。
最後まで読んでくれて、ありがとにゃ!