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ジブリ映画『君たちはどう生きるか』は、観る人の心に“クエスチョン”をいくつも残す不思議な作品。
「墓の主って誰だったの?」「なんで世界があんなに支離滅裂なの?」と、観終わった後に思わず考え込んだ人も多いはず。
この記事では、そんなモヤモヤをスッキリ解消すべく、“墓の主の正体”や“支離滅裂に見える世界観”や“夏子の謎”に迫ります。
ちょっと不思議で、ちょっと切ない——その世界の奥にあるメッセージを、一緒に読み解いてみませんか?
関連記事:「君たちはどう生きるか」考察|人形はなぜおばあちゃん似?キリコの謎とは?
映画「君たちはどう生きるか」の墓の主の正体とは?
墓の主の正体は人口知能(AI)
墓の主の正体は、個人的には「人口知能(AI)」だと考えます。
映画『君たちはどう生きるか』は過去のジブリ作品がオマージュされているのは有名な話ですよね。
そして「墓の主」はジブリ映画『風の谷のナウシカ』に登場します。(正確には「シュワの墓所の主」)
シュワの墓所の主とは、生ける人工知能のような存在。
実は「シュワの墓所の主」は、映画版『風の谷のナウシカ』では存在しません。原作漫画のみに登場します。この正体を明かさない感じも、映画『君たちはどう生きるか』に登場する墓の主に合っています。
これを踏まえると、“あの謎の文章”も読み解くことができます。
「ワレヲ学ブ者は死ス」

下の世界に登場するこの文字を覚えていますでしょうか。
「ワレヲ学ブ者は死ス」
墓の主の正体を踏まえると、“人工知能(AI)を学ぶ者は死亡する”――と読み解くことができます。つまり「AIを学ぶと創造力が失われる」というメッセージ性が感じられるのです。
ジブリ映画でそのメッセージ性が登場すると、なんだか危機感を覚えますね。
わたしは、実在の小説家の方で、「AI生成を使用して文章を書いていたら、自分の文章が書けなくなって使うのを辞めた」という記事をかつて読んだことがあります。
実際に想像力が枯れる可能性は示唆されており、ひとつの問題点としてあげられていますね。
これらのことから、映画『君たちはどう生きるか』の墓の主の正体=人工知能(映画『風の谷のナウシカ』のオマージュ)という考察となりました。
映画『君たちはどう生きるか』の支離滅裂な世界を考察・解説!
映画『君たちはどう生きるか』では、精神を病んだ者たちが、現実との境目を見失い、下の世界に迷い込みます。
精神を病むとは、映画『君たちはどう生きるか』では、具体的には「悪意をもって嘘をつく」ことだとされていました。
つまり、夏子や眞人は「嘘をついていたから」あの世界に踏み込んだことになります。
因みにペリカンたちは「食べるものがない」と苦しんでいたので、半ば強制的に迷い込んだのかもしれません。(人間たちが海を汚したことによる)
人形(守り石)がおばあちゃんたちの理由・若い頃のヒサコの謎のについては別記事で考察しています。
1.夏子が下の世界に迷い込んだ理由…「大嫌い!」が切ない

夏子の場合を例にあげてみます。
父親が「夏子の具合が良くない」と言っていることは伏線となっており、彼女は眞人を傷をつけてしまった罪悪感で精神を病んでいたのです。のちに 「(眞人なんて)大嫌い」と言っていることからも、義理の息子に母親として認めてもらえない怒りを抱えていたことが分かります。
眞人は嘘つきでしたが、夏子もまた現実問題から目を背け、気づかないフリをして自分の心に嘘をついていたのだと思います。
2.意味不明?なぜ夏子の産屋に入ってはいけなかったの?
古来から、産屋に入ることはタブーとされているからです。
出産の際には、住居とは別に「産屋」と呼ばれる小屋を建て、そこで出産が行われていました。これは日本だけでなく、世界各地にも見られる風習です。
日本社会において、出産や月経が「穢れ(けがれ)」と見なされた背景には、生命力の減退や「気が枯れる(気枯れ)」という観念がありました。死や出産、月経などは、日常の生命力が一時的に弱まる状態と捉えられ、これを「穢れ」と呼んだそうです。
月経中や出産直後の女性は、体力が消耗していると考えられ、特別な配慮が必要とされていたのです。
あの世界に迷い込んだ夏子も、生命力が弱っていたのでしょうね。
夏子は双子なの?
夏子とヒミは姉妹であり、作中で明確な説明はありませんが、双子である可能性は高いと考えます。
なぜなら、彼女たちはよく似ており、異世界に繋がる塔で横になっている夏子を母親と見間違える描写があるからです。
彼女たちの姿が似ていることは重要です。なぜなら、眞人が異世界を旅するにあたり、眠っている夏子を見て、「母親は生きているかもしれない、母親を取り戻したい」という願いが大きな原動力となるからです。
ただ、それまで眞人が母親に妹がいたことや双子だったことを知らないというのは謎(笑)。
映画『君たちはどう生きるか』の感想
「それでも、意味分からない部分もあるかも…」と感じた方も多いことでしょう。
その感覚は正しいようです。なぜなら、宮崎駿監督本人も「私自身、訳が分からないところがありました」と述べているからです。尺の問題もあるかもしれませんね。
原作小説は『失われたものたちの本』とされています。
(原作といえど別の作品ですが)原作小説では作中に登場するキャラクターについて作中に説明がされていますし、伝えたいメッセージについても明確にコレだ、というのが分かりますので、補完したい方にはおススメの一冊です。
>>失われたものたちの本 〈失われたものたちの本〉シリーズ (創元推理文庫) Kindle版
鑑賞後に委ねられる余白は、ジブリ映画の魅力のひとつですね。
映画『君たちはどう生きるか』の墓の正体などまとめ
『君たちはどう生きるか』は、一見“支離滅裂”にも見える不思議な世界ですが、実は繊細な心の動きや背景が描かれていることが分ります。
墓の主の正体や下の世界の謎、夏子について考察することで、この物語に込められた深いメッセージが見えてきます。
まだまだ解釈の余地がある作品だからこそ、自分なりの視点で何度も味わってみたくなる一作ですね。
以上、ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。