考察『ザ・ハント』クリスタルの正体や豚の意味は?ドンは味方?ネタバレ感想

考察『ザ・ハント』クリスタルの正体や豚の意味は?ドンは味方?ネタバレ感想

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映画『ザ・ハント』は、2020年に公開された社会的風刺を取り入れたサバイバル・ホラー映画です。

この記事では、

  • ネタバレ考察
  • ネタバレ感想

についてまとめてご紹介しています。

※ネタバレ考察を避けたい方は、目次からお飛びくださいませ。

映画『ザ・ハント』の簡単なあらすじ

複数の男女が眠らされている間に誘拐され、見知らぬの場所で「人間狩り」のターゲットとして命を狙われるサバイバルスリラー。

主人公・クリスタルは優れた戦闘能力でいくつもの危機を乗り越える。主犯アテナと対峙する中で、この狩りの真相に辿り着く。

映画『ザ・ハント』の主な登場人物:キャスト

  • クリスタル:ベティ・ギルピン……本作の主人公。ハンターのターゲット。
  • アテナ:ヒラリー・スワンク……『ザ・ハント』の首謀者。
  • ゲイリー:イーサン・サプリー……ハンターのターゲットとして連れてこられたうちの1人。『ザ・ハント』の噂を50人の友人たちに拡散した。
  • ドン:ウェイン・デュヴァル……一ハンターのターゲットとして、いち早く移民キャンプで保護されていた人物。

映画『ザ・ハント』のクリスタルの正体は?(ネタバレ考察)

敵の陣地で、クリスタルが銃を向けているシーン
出典元:映画『ザ・ハント』公式サイト

主人公・クリスタルは謎に包まれた存在です。

物語を通して、彼女の背景についてはほとんど語られません。クリスタルのフルネームや詳細な過去、なぜこの「人間狩り」に巻き込まれたのかについてはラストまで曖昧なまま……。

重要なのは、クリスタルの内面です。彼女は単なる被害者ではありません。

他の登場人物たちは、社会的な偏見やステレオタイプによって行動しがちですが、クリスタルはそうした偏見に惑わされず、自分の意志に従い、見事に反撃しました。

この点で、クリスタルはこの世界で生き残る「真のサバイバー」と言えるでしょう。

映画『ザ・ハント』のクリスタルは人違い?(ネタバレ考察)

クリスタルとアテナが争っているシーン
出典元:映画『ザ・ハント』公式サイト

アテナは、クリスタルは小説『動物農場』を読んでいた・アテナを理解していた事実に驚きます。

なぜなら、本物のクリスタルが教養のない人物なのは、彼女の投稿内容から明らかだからです。

アテナが最期に「あなた本物のクリスタルよね?(人違いなの?)」と質問したのは、確認すると同時に救いを求めたのかもしれません。

もしクリスタルが最後に「本人よ」と応じたのなら、真実か、亡くなる敵への慈悲なのかふたつの説が生まれます。

が、……クリスタルは一貫して「人違いだ」と断っています。

すごく虚しいね、てメッセージだと思います。

映画『ザ・ハント』の本来のクリスタルの正体は、教養のない一般人

教養がなく(スペルミス・噂を鵜呑みにするなど)、人格者でもありません。

「殺っちゃえ!」と過激な発言をするタイプです。

ある意味アテナも被害者だった

リチャード
出典元:映画『ザ・ハント』公式サイト

アテナも、ネット上で人格否定された被害者です。

「異常かな。でも自覚してる。自覚してるってのは正常ってこと。つまり私は、キレてるだけ」(アテナ)

引用元:映画『ザ・ハント』

「人間を狩る」という悪趣味なイベントを開催している割に、人をもてあそぶような演出がないため違和感がありました。たとえば拷問や、仲間同士で戦わせるなど。

事件の背景に犯人の動機を感じられなければ、犯人の仲間たちが店主や難民の配役になりきる理由も意味不明です。

その意味は最後に明かされます。アテナには、彼らがネット上で噂する世界(マナー・領地)を成立させてやるという狙いが根本にあったのだと。

残忍性は持ち合わせてなかったものの、プライドを傷つけられたアテナは、「後悔させたい」「自分の正しさを証明したい」と沸々としているうちに本当の化け物になってしまったのでしょう。

映画『ザ・ハント』の豚の意味は……(ネタバレ考察)

豚の鼻

『ザ・ハント』では、豚が象徴的です。豚の登場シーンは主に3回あります。

1度目は冒頭で、ハンターたちが木箱から出てくる豚を見つめるシーン。特にインパクトがあります。
豚は優雅に服をまとっており、身分の高さが伺えます。

本来、キリスト教では、豚は汚らわしいとされています。それなのに、人間よりも優遇されているのが不気味です。

食用として狩られてきた豚の命が尊重され、人間たちが狩られる立場。常識が覆っています。

つまり、豚の登場が「合図」となり、これまでのマナー(常識)が通用しないステージ「ザ・ハント」の世界へ誘われるのです。


2度目の登場では、豚は服を脱いでいます。

そして3度目の登場「豚の死亡」を境に、クリスタルが優勢になります。

映画『ザ・ハント』のドンはクリスタルの味方かも(ネタバレ考察)

映画の中盤から後半にかけて登場するドンは、クリスタルとともに行動するキャラクター。しかし、ドンが本当に信頼できる味方なのかどうか――違和感を残します。

ドンの行動や態度にはどこかぎこちなさがあり、クリスタル自身もドンに対して完全に信頼しているわけではありません。ドンも、ハンターたちの策略によって送り込まれたスパイである可能性があるのです。


しかし最後のシーンでは、アテナが「ドンを仲間と思わせた」と告白していたことから、アテナがドンの味方でなかったことが明らかとなります。

さらに、アテナがドンをコールネームで呼ばない点など、軽率で愛情を感じられませんね。(そして、ドンは本名を名乗ったんだね……涙)

ドンが「(敵の一人に)借りがある」と打ち明けていたことから、アテナは彼の恩義を利用していたといえるでしょう。首謀者たちはセレブなので、金銭面で援助を受けた過去があるのかもしれません。


道中、ドンがクリスタルを狩るチャンスはいっぱいありましたが、彼はそうしませんでした。

ドンのキャラクターは、富裕層によって仕組まれた疑念がどれほど人間関係を破壊するか象徴しているといえるでしょう。

映画『ザ・ハント』のスノーボールとは?

『ザ・ハント』の中で、アテナがクリスタルを「スノーボール」と呼ぶシーンがあります。

実在するイギリスの小説です。
1945年に和訳版が刊行されています。

『動物農場』におけるスノーボールは、理想主義的で革命を目指すリーダーですが、仲間に裏切られ、追放されてしまうキャラクターです。

小説の中のスノーボールは、まるでアテナそのものの生き様でした。

映画『ザ・ハント』の最後のウサギの意味は?(ネタバレ考察)

童話『うさぎと亀』の運命では、ウサギは負けてしまいます。しかしクリスタルは、自らの力でその運命を覆しました。

さらに、ウサギの存在は、クリスタルがかつての自分らしさ取り戻すことを予感させてくれます。

「自分になれる私はレンタカーの会社に勤めてる。つまらない仕事よ。でも今日はもしかしたら、ひょっとして……」(クリスタル)

出典元:映画『ザ・ハント』

クリスタルは、『ザ・ハント』で運命から逃げ、勝利を収めました。

映画『ザ・ハント』のネタバレ感想

こ、恐い

リチャード
出典元:映画『ザ・ハント』公式サイト

主要人物だと認識したキャラクターが次々にあっさり死んでいくのが怖すぎます。

冒頭で亡くなった男性が回復して故郷へ帰る奇跡を祈りましたが無駄でした。

特に、最初に主人公格になる純粋な少女と、正義感に溢れた男性が亡くなるシーンは辛かったです。男性が地雷を踏んだあとに死を悟った表情になるのがリアル……(汗笑)。

そのあとに串刺しになって亡くなってしまう中年女性の「(殺してくれないなんて)この意気地なし!」というセリフも胸に刺さる。

本来は死を選びたくないという屈辱から、“せめて自死ではなく善人の手にかかって死にたい”という想いがあったのだと思います。

色々とリアル。

グロさに関しては、視界を隠したり飛ばしたりしないと観れないレベルです。

因みに、のちに調べてみたところ、どうやらクリスチャン=自殺はダメという教えはないようで安心。(しかし、どうせなら、とことん感情を揺さぶってほしかった気も……笑)

クリスタルが強くて魅力的だった

クリスタルが魅力的!クールなだけでなく、ユニークさもあるのがいい(「この話を信じるか?(ゲイリー)」「友達がいるってこと?(クリスタル)」)

クリスタルは元軍人でサバサバした性格だったので……誰かと行動するのは足手まといになりかねません。

そんななかゲイリーと旅を共にしたのは、力を合わせて助かろうとするためなのか?、それとも自分が守ってやろうという使命感からなのか?

もし前者だったら可愛いなぁと。後者であればつくづくつれない女です。

誰が悪くて誰が被害者なのか?

誰が悪くて誰が被害者なのか曖昧な点もひとつの魅力でした。

それぞれが自分を正義だと感じていたのは確かです。

気になったのが、キャビンアテンダント(CA)さん。彼女も被害者だったのでしょうか?

キャビアを分けてもらえていないあたり、格差を感じましたが……。最初から最後までオドオドしてましたね。怯えか罪悪感か……?

背景が気になる登場人物たちでばかりでした。

映画『ザ・ハント』クリスタルの正体や豚の意味などネタバレ考察&感想まとめ

今回は映画『ザ・ハント』についてネタバレありで考察してみました。

もう一度まとめると、

  • クリスタルの正体?……人違い。
  • 豚の意味?……世界のマナーが変化する象徴。豚のキャラクター「スノーボール」にかかっている。
  • ドンは味方だったの?どっち?……味方だった可能性あり。少なくとも中立的な立場だった。
  • スノーボールの意味は?……イギリスの小説『動物農場』に登場する豚のキャラクター。
  • 最後のうさぎの意味は?……童話『うさぎとかめ』のうさぎにかかっている。クリスタルの勝利を称えている。

という結果となりました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

またどこかの作品でお会いしましょう。

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この記事を書いた人 Wrote this article

白うさぎ

白うさぎ

趣味は読書と一人映画。 好きなジャンルは「アニメ・ファンタジー・サスペンス」です。シナリオライターの経験あり。