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映画『箱男』についてです。
『箱男』待望の映画化!
映画制作の発表されたのが1997年のこと。2024年8月、27年の時を経て劇場公開されました。
ということで本記事では、
- どういう意味?
- 箱男はなんの武器で戦っていたの?
- 彼女(葉子/ようこ)は、その後どうなった?
- ラスト(最後)の意味は?
- 伏線2選!
- ネタバレ感想
について考察・解説していきたいと思います。
ぜひご覧くださいませ。
映画『箱男』について
作品情報
作品名 | 『箱男』 |
---|---|
公開日 | 2024年8月23日 |
制作国 | 日本 |
上映時間 | 120分(2時間) |
監督 | 石井岳龍 |
原作 | 安倍公房 |
脚本 | いながききよたか |
制作スタッフ | 小西啓介、関友彦、浦田秀穂、 小西啓介、関友彦、浦田秀穂、 常谷良男、古谷正志、林田裕至、 長瀬万里、井上浩正、山田彩友美、 勝本道哲 |
キャスト | 永瀬正敏、浅野忠信、白本彩奈、 佐藤浩市、渋川清彦、栁俊太郎、 中村優子、川瀬陽太 ほか |
あらすじ・ストーリー紹介
引用元:「箱男」公式サイト(https://happinet-phantom.com/hakootoko/)『箱男』 ――それは人間が望む最終形態。
ヒーローか、アンチヒーローか完全な孤立、完全な孤独を得て、社会の螺旋から外れた「本物」の存在。ダンボールを頭からすっぽりと被り、街中に存在し、一方的に世界を覗き見る『箱男』。カメラマンである“わたし”(永瀬正敏)は、偶然目にした箱男に心を奪われ、自らもダンボールをかぶり、遂に箱男としての一歩を踏み出すことに。しかし、本物の『箱男』になる道は険しく、数々の試練と危険が襲いかかる。存在を乗っ取ろうとするニセ箱男(浅野忠信)、完全犯罪に利用しようと企む軍医(佐藤浩市)、 “わたし”を誘惑する謎の女・葉子(白本彩奈)……。果たして“わたし”は本物の『箱男』になれるのか。そして、犯罪を目論むニセモノたちとの戦いの行方はー!?
小さな箱の中で王国を作り、守られた状態で世界を一方的に覗く姿は、不確実性の中で揺らぎながら、小さな端末を手に持ち、匿名の存在としてSNSで一方的に他者を眼差し、時に攻撃さえもする現代の私たちと「無関係」と言えるだろうか…。
そして最も驚くのは、著書が発表された50年前に安部公房はすでに現代社会を予見していたということだ。
主な登場人物
- わたし/永瀬正敏
……箱男。元カメラマン。 - 偽医者/浅野忠信
……免許を持たない贋医者。 - 葉子(ようこ)/白本彩奈
……元ヌードモデルの贋看護師。 - 軍医殿/佐藤浩市
……奇病に侵されている医者。
『箱男』考察・解説4選!「どういう意味?」
考察1:どういう意味?
完全犯罪を狙う贋医者が、箱男(匿名性)のポジションを狙っていた……という意味です。
おおまかには、
偽医者は医者に脅迫されているため、命令に逆らえない。
「自殺のお手伝い」をしなければならない。
医者に好意を寄せている(?)内縁の葉子も逆らえない。
完全犯罪のためには、箱男になる必要がある。
箱男になるためには、箱が必要。
箱男になりきるためには、ノートが必要。
偽医者との戦いに敗れた箱男。
こうして男(わたし)は、覗かれる立場となりました。
完全犯罪を企てていた偽医者。
そのため、軍医殿が用意していた遺書(世間を欺くのは申し訳ないからという理由で、真実をしたためていた)を破り捨てて、贋物の遺書をノートにしたためたのです。
その際、右手にけていた装置がなにかといえば、おそらく軍医殿の筆跡に似させる装置を作ったのではないでしょうか。
偽医者は無免許でしたが、軍医殿よりはるかに才能があったからです。
考察2:箱男が手にしていた黒い武器はなに?
箱男(わたし)が手にしていた黒い武器は、「お手製のブラックジャック」です。
劇中、箱男が布袋に砂を入れて、お手製の武器を作っているシーンがあります。
一見、凶器には見えないですが、殺傷力がある武器です。
見た目(外傷)より、内面の傷がひどくなるという特徴があります。
考察3:彼女(葉子/ようこ)はその後、どうなった?
オチの部分(後述)まで考えると、彼女(葉子)は空想上の登場人物だった可能性が高いと思います。
贋医者の遺書を見つけたとき・もしくはお金を恵んでもらったときに生まれたのではないでしょうか。
――最後、箱男(わたし)がボロボロの恰好でひたすらノートを描きなぐっているシーンがあります。おそらくその中に彼女(葉子)は生きていたのでしょう。
彼女(葉子)と同棲を始めた箱男(わたし)。
彼女(葉子)を生き生きとさせるためには、休んでいる暇などありません。
彼女(葉子)のその後は、箱男次第(再び筆をとったとき)なのでしょう。
考察4:ラスト(最後)の意味は?
「箱男は君たちだ」
――ラストに、観客席に向けて放たれたセリフです。つまり、
- 映画観(シアター)=ひとつの大きな箱
- スクリーン=のぞき窓
という意味です。
最後にゾロリと沢山の箱男たちが登場しましたね。
あれは恐らく、映画観の観客たちの視線なのでしょう。
一方的に映画の世界を覗いて、あれこれハプニングが起っている様子を大人しくじっくり噛みしめているわたしたち……(笑)
いけないことをしているみたいで、すこし気まずいというか、恥ずかしくなりました(笑)
でも覗きたい、箱男心……
『箱男』伏線2選!
伏線その1
「箱男を強く意識するものは、箱男になる」
幾度となく出てきたこのセリフ。
伏線となっています。
作中の登場人物「わたし・偽医者」のことを指しています。
彼らは元々箱男を攻撃する立場でしたが、結果的に箱男になっています。
そしてラストに、大胆に回収されています。
観客たちも箱男になっていたからです。
※セリフについては、記憶を頼りにしているるため、正確でない場合があります。
伏線その2
「どうせ、妄想なんだから」
これは、箱男たちが次々とノートにまだ起きていない出来事を綴っていることを指していますが、
やはりこれもラストに回収されています。
何故なら、映画=フィクションだからです。
言い換えれば、スクリーン上に目撃したものは全て、原作者や監督たちの妄想なのです。
“それ”に気づいたときの感情まで箱男とリンクするかのようですね……!
※セリフについては、記憶を頼りにしているため、正確でない場合があります。
『箱男』ネタバレ感想
面白かったです……!
迷うことなく星5点満点。期待を裏切らない作品でした。
一言で表すと「芸術的な映画」という感じ。
色んなものが詰まってます。内容も映像も。ワンシーンごと引き込まれます。
筆者が素人なのでうまく表現できませんが、観客を飽きさせないための様々な工夫・テクニックが張り巡らされていると感じました。
完全な孤立を望むといいながら、外(女性)に惹かれる様子が人間臭くて良い。。
箱男にとっての光は女性なんですね。そして裸ならなお良いのでしょうね。
どうやら、匿名性を極めても、人間の性からは逃れられないようです。
女優の白本彩奈さん、美しかったです……。
原作を踏まえると、“のぞき穴(窓)についているカーテンがない”、という点が最も印象的でした。
原作にあるカーテン(ビニール性)は、箱を傾けることでカーテンの角度がずれて、そのときだけ外を覗くことができる仕組みになっているのです。
これがド迫力らしいのですよね。
映画の原作者・安倍公房さんもその「迫力」にやられてしまった一人。
詳しくは以下の記事にまとめてあります。
映画(映像)の場合は、“常に目の表情も楽しみたい”のと、“2人の箱男が出現した際に「匿名性」が究極になりすぎて混乱してしまう”ので、カーテンが無いのはとても有難かったです。
石井岳龍監督いいなぁ、と思って調べてみたところ、直近の映画作品では「almost people(2023)」「自分革命映画闘争(2023)」「パンク侍、斬られて候(2018)」などがあるようです。
どれも存じ上げなかったので、観てみたいものです。
映画『箱男』考察・伏線・感想まとめ
今回は映画『箱男』について考察・伏線・感想についてまとめてみました。
- 箱男が手にしていた武器は?……お手製のブラックジャック。
- どういう意味?……完全犯罪を狙う贋医者が、箱男(匿名性)のポジションを狙っていた。
- 彼女(葉子/ようこ)はその後どうなった?……空想上の人物である可能性が高い。
- ラストの意味は?……劇場を箱に見立て、スクリーンをのぞき穴に見立てた。観客が箱男となった。
- 伏線2選……「箱男を強く意識するものは、箱男になる」・「どうせ、妄想なんだから」
以上の結果となりました。
もしリアルに箱男と遭遇したら、映画スターと出会った気分になりそうです。これも匿名性の威力でしょうか。
ご参考になりましたら幸いです。
では、またどこかの作品でお会いしましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。