箱男のあらすじ・簡単なあらすじは?【安部公房著】原作小説

箱男のあらすじ・簡単なあらすじは?【安部公房著】原作小説

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小説『箱男(1973・安部公房著)』についてです。

「難解」といわれている作品です。

著作権が消滅しているため、本記事にあらすじを分かりやすくまとめてみました。

  • 簡単なあらすじ
  • 詳細なあらすじ

ふたつの項目に分けてご紹介していきますので、
どうぞご覧くださいませ。

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箱男は実在した!実話?読み解くヒントは? 安倍公房氏の映画原作『箱男(1973)』についてです。

【箱男(原作小説)】作品情報

作品名『箱男』
発売日‎‎1973/3/30
出版社新潮社
ページ数248ページ
作者安倍公房
(原作小説『箱男』作品情報)
映画化作品(2024年8月公開予定)

簡単なあらすじ

Cは軍医殿の情報を借りて診療をしていた。
やがて軍医殿の変死体が発見される。

医者と彼女は、“箱”に執着をみせるが……一体なぜ?

箱を巡る様々なストーリー。

箱男がノートに連ねるそれは、事実か虚実か――?
誰が箱男で、誰が箱男になり損ねたのか――?

“匿名性”をとことん突き詰めた前代未聞の物語。

詳細なあらすじ(各章ごと)(ネタバレ)

※はじめに、小説『箱男』には想像の産物が紛れています。

以下のあらすじには、真相や考察は含まれていません。

「箱男のノートに綴られた内容」を要約したあらすじとなります。

以下、ネタバレが含まれます。

例えばAの場合

Aのアパートの下に、1人の箱男が住み着いた。

Aは箱男を追っ払おうと躍起になる。
空気銃によって撃退に成功。

しかし結果的に、自らが箱の魅力に囚われ、箱男となり姿を消してしまう。

安全装置をとりあえず

箱男は、「5万円で箱を買いたい」と申し出た女を待つために、橋の下で雨宿りをしている。

待ちぼうけしている。

表髪裏に添付した証拠写真についての二、三の補足

Aの空気銃により肩に怪我を負った箱男。

自転車に乗った若い女が現れ、3千円を渡し「坂の上の病院へ」箱男に行くように告げた。

箱男は、箱を脱ぎ捨てて病院へ向かう。

そこには白衣姿の自電車娘と、医者がいた。

気づいたときにはベッドの上。白衣の彼女に話を聞いてもらっているうちに、箱男に戻らなくて良さそうだと感じ、5万円で箱男から箱を買い受けてやろうという約束をとりつけた。

まんまと嵌められたようだった。

それから僕は何度か居眠りをした

箱男は夢をみる。

何度居眠りを繰り返しても、箱男は箱男のままだ。

約束は履行され、箱の代金5万円といっしょに、一通の手紙が橋の上から投げ落された。つい五分ほど前のことである。その手紙をここに添付しておく

落された手紙の内容は、「あなたを信頼します、箱を処分してください」というものだった。

……………………

箱男は、彼女からの手紙を何度も読み返す。

彼女が“5万円支払ってでも箱を処分したい”と考えた動機について思い悩み、仮説を立てる。医者が関係していると睨む。

箱男は、“手紙と5万円を落すだけ”という彼女の事務的なやり取りに不満を覚えていた。

箱男にとって、箱は意味のあるものだし(5万円はとるにたらない金額)、

彼女の存在によって、箱から脱皮できることを期待していたのだ。

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鏡の中から

箱男は坂の病院に向かう。

彼女に5万円を返し、話し合うためだ。

病院の庭に侵入し、彼女の部屋を覗く。

部屋のなかには、裸の彼女と贋の箱男(医者)がいた。

彼女の裸を覗くことに夢中になる。また、彼女と親密な贋箱男に嫉妬もする。

以前、肩の手当てをしてもらったあとに聞いた話によれば、“彼女は元ヌードモデル。今は見習看護師で、二年前に妊娠中絶の手術を受けた。以降、この病院になんとなく居着いた”のだという。

翌日に出直すことにして、箱男はひとまず引き上げる。

別紙による三ページ半の挿入文

女と先生の会話。

女がとある男に裸を見せ、注射したときのことを話している。

書いている僕と、書かれている僕の不機嫌の関係をめぐって

無人の砂浜にて。

箱男は、髭をそって身体や服を洗い、身支度を整えた。

箱から出るつもりだった。箱がトンネルなら、瞼の裏に焼き付いた裸の彼女が、トンネルの出口だった。

――箱男になって間もない頃の回想をする。道端の狭い隙間に箱男Bの脱け殻を見つけたことがある。

箱の死がBの死とは限らない。そう思いたかった。だからその証拠を探したのだが、真意は謎のままだった。

そろそろ箱から出たい。“病院に向かい、5万円を返し、彼女と医者と話すシミュレーション”をする。

贋箱男(医者)は、贋箱男と箱男が入れ替わる提案をしてくるが、中々信じられない箱男。

それに、“覗かれる”ことには慣れていなかった。

やがて贋箱男と箱男の口論が始まる。箱を脱ぐ勇気がないこと――筆者は誰なのか――だが、所詮、贋箱男も彼女も、箱男の空想上の人物にすぎない。

供述書

C(医師見習い)の供述書。

Cは、戦時中に衛生兵の頃の上官・軍医の名を借りていた。

また、内縁の妻(奈奈)と同居していた。

その後、看護婦見習い(戸山葉子)を雇いいれたところ、奈奈が不満として別居を申し出た。

腕の技術は確かであるが、免状を持たずに、軍医殿の名を借りた不当診療をしていた。

それは法に背く行為だった。

Cの場合

Cは供述書を書いている。

壁際のベッドには、箱男に似せてつくった贋の箱がある。机には供述書。

ノートには、明後日の事件のあらましを過去の出来事として綴っている。
変死体が海岸公園に打ち上げられるのだ。

続・供述書

軍医殿には自殺の危険性があった。

終戦の前年、軍医殿は奇病にかかった。Cは惜しまぬ看護にあたった。

軍医殿が診療所を開設後も、症状は好転しなかった。代わりにCが代診していた。

不当医療行為を続けた理由は、軍医殿の治療に麻酔が必要なのと、生計が確保されるからだった。

奈奈と内縁の関係をもったのは、軍医殿がCに見捨てられることを恐れて、あえてそう仕向けた結果だった。(軍医殿の被害妄想の症状)

次第に軍医殿の症状が悪化したため、Cが軍医殿に成り済ますことになる。

――ある日、軍医殿が家を抜け出した。段ボール箱を被った状態の遺体が見つかった。

軍医殿は戸籍や資格、人格までもCに譲渡し、自分が何者か分からなくなっていたという。

死刑執行人に罪はない

遺体慰安室にて。

男は自分の希望でそこにいる。

ドア越しに、“君”の気配がする。君は死刑執行人。互いに同意のうえだった。

男は麻薬中毒者だ。そのためよく眠れなくても、君が部屋に入ってきたら狸寝入りをすると決めていた。君を安心させるために。

君は、男を溺死に見せかけるやり方で死刑執行した。

ここに再び そして最後の挿入文

このノートに書かれてあったことは、想像上の産物であっても、嘘ではない。

法律が届かない場所にいる人々相手の殺人は安楽死だ。つまり、箱男相手の殺人にも同じことがいえる。

Dの場合

少年Dはアングルスコープを作った。

あらゆる場所を覗いた。調子にのって街を覗いた。大胆になって隣の家(女教師)の便所を覗いた。

が、女教師に見つかってしまう。

叱られて仕返しされた(裸にされ覗かれた)。

・・・・・・・・・・・ 

病院の休診日。

元カメラマンの箱男が、彼女の元へ向かう。

彼女は、箱男が約束を守ってくれなかったことに驚き、箱を脱ぐように言う。

しかし脱げない。海水で洗った服が無くなってしまったため、箱の下は裸だったのだ。

箱男は「自分も贋物だが、ノートは本物(本物の箱男のもの)」だということを告げる。

夢のなかでは箱男も箱を脱いでしまっている。箱暮らしを始める前の夢をみているのだろうか、それとも、箱を出た後の生活を夢みているのだろうか……

ショパンは、花嫁を迎えにいくため、馬車に乗っていた。

ただし、馬車を引いているのは馬ではなく段ボールを被った人間(父親)だった。金が無いからだった。

向かう途中で、ショパンの立ち小便姿を花嫁に見られてしまい、結婚の話は白紙となる。

ふたりで都会に出て、ショパンは彼女の絵を描きつづけた。売れた。やがて切手の発明者となる。

のちに郵便事業が国営化すると、ショパンは贋造者とされるが、父親の赤い箱はポストとして受け継がれた。

開幕五分前

男と女が恋について話している。

そして開幕のベルも聞かずに劇は終った

彼女は玄関から出ていってしまった。

……………………

男が聞いた音は、実は玄関のドアの音でななく部屋のドアの音だった。

彼女のことは家のなかに閉じ込めている。

彼女の部屋に向かったところ、どこかの売店裏の路上だった。

彼女を探さなければならない。

ラスト、救急車のサイレンが聞こえてきた。

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【箱男(原作小説)】のあらすじ・簡単なあらすじまとめ

本記事では原作小説『箱男』についてあらすじをまとめてみました。

『箱男』は著作権切れの作品なので、青空文庫で読むことができます。気になった方はぜひ覗いてみてくださいね。奥深い作品です。

では、以上となります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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白うさぎ

白うさぎ

趣味は読書と一人映画。 好きなジャンルは「アニメ・ファンタジー・サスペンス」です。シナリオライターの経験あり。