映画『ゲネプロ7(2023)』についてです。
本作は、舞台「シェイクスピア・レジェント」までの数日間の裏側を描いたドラマ映画です。
シェイクスピア・2.5次元俳優に興味がある方には特にたまらない作品です。
本記事では、
- 舞台「シェイクスピア・レジェンド」の配役の解説
- ラストシーン(結末)について
- 蘇我役は誰なのか
について考察・解説しています。
「どういう意味なんだろう？」と気になった方は、ぜひご覧くださいませ。
映画『ゲネプロ7』作品情報
| 作品名 | 『ゲネプロ7』 |
|---|---|
| 公開日 | 2023年4月21日 |
| 制作国 | 日本 |
| 上映時間 | 93分（1時間33分） |
| 監督 | 堤幸彦 |
映画『ゲネプロ7』あらすじ・ストーリー紹介
引用元：映画『ゲネプロ7』│映画「ゲネプロ7」製作委員会若者から絶大な人気の7人組ユニット〈劇団SEVEN〉。
話題の新作舞台「シェイクスピア・レジェンズ」の準備に向けて、新たなメンバー山井の加入が控える中、カリスマ的リーダーの蘇我が急死する。
蘇我を失った劇団は何かが崩れ始め、お互いのミスを責め合い、稽古には身が入らず、信頼関係に亀裂が走る。
さらに、“ある秘密”が彼らに告げられたことで、運命の歯車は容赦なく狂い出す。
誰かが俺たちを操っているのか？ 何者かが劇団に仕掛けた〈罠〉なのか？ 1人、また1人と、不気味な影が彼らを嘲笑う。
とまらない猜疑心と焦燥感。7人の絆を打ち砕こうとする黒幕の正体は？
映画『ゲネプロ7』主な登場人物・キャスト
- 妖精パック：山井啓介/三浦海里
……劇団SEVENの新人。 - ハムレット：陣内康史/和田雅
……劇団SEVENの新リーダー。 - ジュリアス・シーザー：芥川拓登/荒牧慶彦
……ぬいぐるみを愛している実力派俳優。 - リア：麻真皐月/佐藤流司
……公演舞台のテーマ曲を歌っている。 - オセロ：焼野悠馬/染谷俊之
……劇団のプレイボーイ。 - マクベス：唐沢省吾/黒羽麻璃央
……料理人で実店舗を経営している。 - ロミオ：黒江雅道/高野洸
……筋トレを欠かさない。ダンスを得意とする。
【解説】シェイクスピア・レジェントの配役について
シェイクスピア・レジェンドの舞台に登場する7名の役名
「妖精パック・ハムレット・ジュリアス・シーザー・リア・オセロ・マクベス・ロミオ」
について気になり、調べてみました。
以下に解説します。
妖精パック：山井啓介役/三浦海里
三浦海里演じる「妖精パック」は、戯曲『夏の夜夢』に登場するいらずら好きな妖精です。
イギリスの伝承に登場する「ロビン・フェグッドロー」と同一視されることが多いです。
物語は、シーシアスと女王ヒポリタの結婚式の準備からはじまります。
妖精パックはオベロン王に仕えており、指示通りに惚れ薬を使用しますが、その相手を間違えてしまい、恋人たちの間で一夜のハプニングが起ります。
まるで夢のようです。
物語のコメディ・幻想的な要素を強調する存在です。
ハムレット：陣内康史役/和田雅
和田雅演じる『ハムレット』は復讐劇で、４大悲劇の一つ。
物語は、父王を殺した叔父クローディアスが王位についたあと、王子ハムレットが復讐を誓うところから展開します。
亡き父の亡霊に真実を知らされたハムレットは、葛藤に苦しみます。
最終的に復讐を果たし、自ら命を断ちます。
ハムレットは、複雑で多面的な性格を持ちあわせています。
ジュリアス・シーザー：芥川拓登役/荒牧慶彦
荒牧慶彦演じる『ジュリアス・シーザー』は、ローマの指導者ジュリアス・シーザーの暗殺とその後の政治的な混乱を描いた悲劇です。
シーザーの権力拡大を恐れた友人ブルータスはキャシアスにそそのかされ、シーザーを暗殺します。その後アントニーによって反乱が起こり、内戦が勃発します。
最終的にブルータスは敗北し自決します。権力、裏切り、野心などがテーマです。
ジュリアス・シーザーの「ブルータス、お前もか」は有名ですね。
ジュリアス・シーザーは、カリスマ指導者でした。
リア：麻真皐月役/佐藤流司
佐藤流司演じる『リア王』は老いと狂気、親子の絆と裏切り、無常さや人間の弱さをテーマにした重厚な作品です。
四大悲劇の一つです。
リア王は退位することに決め、国を分け与える際に、自分への愛情を測るために娘たちに愛を競わせます。
自分への褒め言葉を重視し、忠実な末娘コーディーリアを追放してしまいます。
リア王は身内に裏切られて転落。コーディーリアは父を支えようとフランス軍とともに戻ってきますが、処刑されてしまいます。
リア王は三女の遺体を抱き、失意のまま亡くなります。
リア王は、初めの自己中心的で傲慢な性格から、変化します。
オセロ：焼野悠馬役/染谷俊之
染谷俊之演じる『オセロ』は、嫉妬がもたらす破滅と人の心の脆さを描いています。
四大悲劇の一つです。
ムーア人の将軍であるオセロは、高貴な女性デズデモーナと結婚します。
しかし、彼の旗手のイアーゴが嫉妬心から陰謀を企てます。
オセロはイアーゴの嘘に翻弄され（デズデモーナが不倫していると思い込み）、嫉妬に駆られて最終的に無実のデズデモーナを殺してしまいます。
最終的に、真実を知ったオセロは絶望し、短剣で喉を刺し自害するという悲劇の人物です。
マクベス：唐沢省吾役/黒羽麻璃央
黒羽麻璃央演じる『マクベス』は、野心と罪がもたらす破滅が描かれた作品です。
四大悲劇の一つです。
スコットランド王ダンカンに仕えるマクベスは、魔女の予言により「王になる」と告げられます。
のちに王がマクベスを後任にしたことにより、予言が事実だと悟ります。野心にかられた夫婦は現国王ダンカンを殺して王位を奪います。
悪いことをして恐怖と不安に囚われたマクベスは、魔女のさらなる予言により、罪を重ねます。
最終的に反乱軍に討たれ、悲惨な最期を迎えます。
ロミオ：黒江雅道役/高野洸
高野洸演じる『ロミオとジュリエット』は、悲劇の恋愛物語です。
モンタギュー家の息子ロミオはキャピュレット家の娘ジュリエットと恋に落ちましたが、家同士が敵対しているため叶いません。
その最中、ロミオが罪を犯し(親友の仇討ち)追放されてしまいます。
ジュリエットは「仮死状態になる薬」を使って駆け落ちする計画を練りました。
が、すれ違いにより互いが後追い自殺をして亡くなってしまいます。
バズ・ラーマン監督による映画『ロミオとジュリエット』が有名です。
『ゲネプロ7』結末はどういう意味？考察
こうしてシェイクスピアの背景と役柄を照らし合わせてみると、「なるほど」と思うところがあります。
最後のシーンについて注目すべきは、妖精パックこと山井啓介(三浦)です。
彼はイタズラ好きの妖精。メンバーたちをかきみだし、翻弄する姿を楽しんでいたのでしょう。探偵の資料を落としたのも、きっとワザとなのでしょうね。
シェイクスピアの『真夏の夢』を参考にすると、
- 王＝蘇我
- 一晩の恋愛のハプニング＝一舞台(ゲネプロ)の殺し合いのハプニング
- 夢だったのかどうか怪しむ男女＝現実のことなのか怪しむ観客
のようにオマージュされていることが予想できます。
出典元：映画『ゲネプロ7』│映画「ゲネプロ7」製作委員会「僕にはそれぞれの事情なんて関係ないんだよ。楽しいのが一番。みんなもそれが見たいんだろ？」（妖精パック）
「みんなが見たいのは、2.5次元俳優のリアルな殺陣（殺気漂う美しい殺陣）なんだろ？」――そういうメッセージだったのだと受け取れます。
正直なところ、わたし自身は「最後、撮影後の映像もサービスで見せてくれたのね」と思っていたのですが、
こういったシェイクスピアの背景を知ると、物語の大事な一部だったのだと、ようやく気づいたのでした。
妖精パック・山井啓介の目的は？考察
山井が仕掛けたイタズラの具体例としては、
- 唐沢省吾（黒羽）のお店の悪いレビューを書き、黒江のせいにする
- 黒江雅道（高野）の身辺調査をして、唐沢のせいにする
- 剣を真剣と取り換える
などです。
妖精パック役の山井啓介は、舞台に立ちたくても叶いませんでした。お客さんが数人しか入らず手を抜いていたら、劇団が潰れてしまったという苦い思い出があります。
立派なステージが用意されているのにもかかわらず、やる気が感じられない彼らの状況が許せなかったのでしょう。
因みに黒幕については、ひなこは蘇我（彼氏）のいいなり、蘇我と山井の目的一致、というところでしょうか？
その他のメンバーについても、照らし合わせると色々と面白い発見があります。
映画『ゲネプロ7』蘇我役は誰？
因みに、「蘇我役は誰？」と疑問の声が多数あがっているようですが、
蘇我役を務めたのは「荒木健太朗」さんと思われます。
根拠は、パンフレットやエンドクレジットに名前が載っていることです。
例えば、パンフレットとエンドクレジットでは7人と大高洋夫さんに続き、荒木健太朗さんの名前があります。
重要なポジションを担っていることが分かりますね！
映画『ゲネプロ7』について考察・解説まとめ
本記事では映画『ゲネプロ7』について考察・解説してみました。
俳優たちの演技力が光る作品でした。
シェイクスピアの7作品に対しての知識があり、さらに2.5次元俳優のファンという人にとって特に楽しめる作品だったと思います。
以上となります。ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
