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小説『8番出口』(映画の小説版)についてです。
この記事では、
- おじさん(歩く男)について
- 主人公(迷う男)について
- 少年について
- 地下通路について
- 伝えたいこと・メッセージ
などについて考察し、まとめてご紹介しています。
『8番出口』とは? 原作ゲームから映画・小説へ
『8番出口(The Exit 8)』は、2023年11月に日本人ゲーム開発者「KOTAKE CREATE」さんが制作・配信した一人称視点のウォーキングシミュレーションゲームです。
舞台は無機質な地下通路。プレイヤーは、ループする謎の地下道を進みながら「異変」を見つけ、正しく対応し、「本当の8番出口」を目指すという内容。
不気味な恐怖を楽しめるゲーム性が注目されました。
ゲーム『8番出口』の大ヒットをきっかけに、類似ゲームやオマージュ作品が次々と登場。
2025年7月には、小説家・川村元気さんによるノベライズが発売され、さらに翌月には待望の映画化が実現!
主演は二宮和也さんをはじめ、豪華キャストが集結しています。
考察:『8番出口』小説ネタバレ注意
※ここから先は、小説『8番出口』の具体的な内容に触れています。
読了済みの方に向けた考察記事のため、ネタバレを含みますのでご注意ください。
(以下、少しスクロールしてご覧ください)
考察1:おじさん(歩く男)はその後とは?
おじさん(歩く男)はきっと、この先も他人に無関心な日々を繰り返していくのだと思います。
つまり、日々をただ消化するように生きているだけで、前には進めないということ。
父親を失った少年との出会いは、反省し、変わるためのチャンスだったはずです。
しかし、相変わらず少年に無関心だったことから、地下通路の“8番出口”から抜け出せませんでした。
おじさんは、死んだように見える瞳の向こうに幸せを夢見ているものの、その道のりは長そうです。
考察2:主人公(迷う男)のその後とは?
主人公(迷う男)は、赤ちゃんの父親になることを決意。地下通路で視たような温かい家庭を築くと考えられます。
もし、主人公がこのまま変りばえない日々を繰り返すことになっていれば、定職に就かず履歴書用の写真を何度も取り続ける未来が待っていたのだと思われます。
ついには喉の具合が悪くなり、仕事を見つけられずにホームレスとなる未来が待っているのでしょう。
考察3:少年の正体と並行世界(パラレルワールド)の意味
少年は主人公の別の世界線での未来の息子である可能性が高いです。
少年の「父親に会ったことがない」という発言から、少年の世界線では、すでに主人公はいない(彼女がひとりで産むことを決意したか、病死?)したのだと考えられます。
一方、主人公の世界線では親子3人で楽しく過ごせる未来に向かっているはずです。視えた未来が“異変”でない限りは……。
考察4:『8番出口』の地下通路の正体とは?
地下通路の空間は人生のメタファー
原作者・監督の川村元気さん曰く、8番出口に登場する地下通路は人生のメタファーです。
※メタファー……比喩技法の一つ。「~のようだ」「まるで~」という表現を使わずに例える。日本語では「隠喩・暗喩」。
8番出口の「8」は、横に倒すと「∞」で、「無限大(限りがない)」という意味をもつ記号になります。
つまり、「8番出口から出れないということ」=「現状から抜け出せない」という象徴であり、地下通路から抜けだすためには「過去の自分の罪」と向き合う必要がありました。
異変を見逃さない、異変に気付いたら引き返すというオリジナル・ルールが設けられた“8番出口”。
――それはまるで、他人に感心をもつための教習所かのようですね。
本作のテーマは「無関心の罪」
この作品の核にあるひとつのテーマは「無関心の罪」だといいます。
例えば、主人公は電車で泣く赤ちゃんに気づいても無視し、母親の苦しみにも無関心。
ホームレスの男は、自分の息子と同じ境遇である少年に対し、何も感じていないようでした。
どの登場人物も、“誰かの異変”に気づいていたにもかかわらず、行動を起こしませんでした。
そしてこの作品では「無関心な人間=人間に見えない」存在として描かれます。
「異変に気づいても、見て見ぬふりをしているなら、ループするプログラム(AI)で十分」……そんな、重くて強烈なメッセージが込められているのかもしれません。
小説『8番出口』の感想
脱出系ゲームから映画化されるなんて、大胆な試みですよね。
小説版『8番出口』は、緻密に構成されたストーリーに、メッセージ性とドラマ性がしっかりと織り込まれていて、素直に「すごい」と感じました。
ゲーム要素もあって飽きることなく、一気に読み進めてしまいました。
スマホ社会の今、日々の生活には刺激的な情報があふれていて、異変に“慣れてしまう”感覚があると思います。
でも実は、いまこの瞬間も、違和感や異常は私たちのすぐそばにあるのかもしれません。
『8番出口』でもがいていた住人たちのように、「誰かの異変」を“自分ごと”として受け止められたら、世界はもっと優しくなれる気がします。
……とはいえ、現実には「助けようとして命を落とす」ケースもあり、関わり方には判断力が必要ですね。
「罪悪感」を抱えながら生きることは、決して楽なことではありません。
他人に興味を持ち、手を差し伸べようとする行為は、結果として“自分自身を救う”道しるべにもなり得るのでしょう。
小説『8番出口』作品情報
作品名 | 『8番出口』 |
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発売日 | 2025/7/9 |
出版社 | 水鈴社 |
作者 | 川村元気 |
考察:小説『8番出口』のまとめ
小説『8番出口』は、無音映画を読み解く手がかりとして非常に重要な作品です。
本記事では、おじさんや主人公のその後、少年や地下通路の意味などを深掘り考察しました。
読者ごとの解釈も広がる作品なので、映画公開後の再解釈・考察もきっと面白くなるはずです。