本サイトはプロモーションを含みます
映画『ある男(2022年)』についてです。
本記事では、
- ラストシーンの意味は?
- 浮気がバレるシーンの意味は?
- 実話なのか、モデルは実在するのか?
について考察・解説しています。
映画『ある男』あらすじ
引用元:映画『ある男』チラシ弁護士の城戸(妻夫木聡)は、かつての依頼者である里枝(安藤サクラ)から、亡くなった夫「大祐」(窪田正孝)の身元調査という奇妙な依頼を受ける。
里枝だは離婚を経て、子供を連れて故郷に戻り、やがて出会う「大祐」と再婚。そして新たに生まれた子供と4人で幸せな生活を築いていたが、ある日「大祐」が不慮の事故で命を落としてしまう。
悲しみに暮れる中、長年疎遠になっていた大祐の兄・恭一が法要に訪れ、遺影を見ると 「これ、大祐じゃないです」と衝撃の事実を告げる。
愛したはずの夫「大祐」は、名前もわからないまったくの別人だったのだ‥‥。
「大祐」として生きた「ある男」は、
いったい誰だったのか。
何故別人として生きていたのか。「ある男」の正体を追い“真実”に近づくにつれて、いつしか城戸の心に別人として生きた男への複雑な思いが生まれていく―――。
映画『ある男』主な登場人物(キャスト)
- 城戸章良(妻夫木聡)
……弁護士。里枝に亡き夫の身元調査の依頼を受ける。 - ある男X(窪田正考)
……事故により死亡。死を切欠に戸籍上の人物(谷口大祐)とは別人だということが判明する。 - 谷口里枝(安藤サクラ)
……ある男Xの妻。息子の死と離婚を経験している。 - 谷口悠斗(坂元愛登)
……里枝の連れ子。ある男Xとは良い親子関係を築いていた。 - 谷口花(小野井奈々)
……ある男Xと里枝の間に生まれた長女。 - 谷口大祐(中野大賀)
……ある男Xが手に入れた戸籍上の人物本人。 - 後藤美涼(清野菜々)
……谷口大祐の元恋人。 - 小見浦憲男(柄本明)
……戸籍ブローカー。 - 城戸香織(真木よう子)
……城戸章良の妻。
ラストシーンの意味は?
絵画の意味は?
『ある男』のラストシーンで登場する絵画は、ルネ・マグリットの「複製禁止(エドワード・ジェームスの肖像)」(1937)です。
- 鏡には、何故か男(エドワード・ジェームス)の後ろ姿が映っている。
- 本は正常に映っている。
この絵画作品は、映画『ある男』の象徴となっています。
絵画の解釈として、
自分を直視できない、あるいは自分の真の姿を見ることの難しさが反映されていると捉えることができます。
または、背中=過去と捉えることもできます。
本作の奇妙な事件は、とある男たちの戸籍交換によって引き起こされました。世間を欺くことに成功したのは、顔が見えなかったからです。
ルネ・マグリットの絵画においても、顔が見えないため、
「この男は、誰だ?」
という疑問が生まれます。
最後の男の意味は?
ラストシーンでバーにいる男・鈴木は、本作『ある男』を世に送るために必要な存在でした。
以下、引用文です。
平野啓一郎公式サイト(https://k-hirano.com/articles/ningenron)(前略)差別の問題を自分が差別されている立場で書こうとするとうまく書けなかったけれど、友達を心配するという立場からのアプローチであれば、真情と共に主人公のことを考えながら一つの物語を書けるのではないかと思ったんですね。
それで初めて、小説で在日差別を書く際の、自分なりのアプローチが見えてきたんです。
『ある男』では、城戸という在日3世の男を主人公にしています。しかし、いきなり彼の内面に自分自身が飛び込んでいって、僕が彼になりきって書くのではなく、序章で僕とおぼしき作家が登場して、城戸と仲のいい友達になります。
そして、作家がその友人について書くという設定で物語を始めることにしました。そうすると、なかなか超えられなかった壁を一つ越えて、物語を書き始めることができました。
原作者である平野啓一郎さんには、かつて在日の友達がいたそうです(クラスに在日の人が何人かいた)。差別用語がタブーである環境のなかで育ちました。
――しかし。時がたつにつれ、SNSや街頭でのヘイトスピーチが目につくようになり、胸を痛めたといいます。
その後も様々な体験を通じ、「在日差別の問題を日本の差別の問題として」書かなければならないという使命感を抱くようになりました。
しかし重たいテーマのため、アプローチに迷ったといいます。
つまり、バーにいる聞き手の存在がワンクッションの役目を果たしているのです。
※因みに、最後のバーに登場する話し相手・鈴木(名刺を差し出した男)は、原作では「作家」となっています。なので、映画の場合は「監督」と解釈しても良いかもしれませんね。
浮気がバレるシーンはどういう意味?
なぜ香織の浮気を流したの?
その理由としては、おそらく、城戸も美涼と良い感じになりかけたからだと思われます。
よって、複雑な心理状態だったのではないでしょうか。夫の浮気心に先に気づいたのは、妻のほうかもしれないのです。
ある男Xに複数の顔があったように、城戸にも妻にも他の顔があったということなのでしょう。
浮気相手は誰?
浮気相手は「遠山淳一」という名前の人物です。
与えられたのは、その情報のみで、その人となりや人生は全く見えません。
今回「戸籍交換」の調査に関わった妻夫木聡からすれば、その名前に意味など感じられなかったのではないでしょうか。
『ある男』実話?モデルは実在する?
結論からいうと、『ある男』は実話ではありません。
差別や偏見などの社会問題を1つのテーマをとしたフィクションです。
一方、モデルについては一部実在するそうです。
具体例をあげると、
- 文房具店
- 林業の会社
- 林業の会社の社長
- 戸籍ブローカー・小見浦憲男
です。
ちなみに、そのほか中心人物たちにおいては、“小中学校の同級生の友人(在日朝鮮人)・インタビュー・書物”を参考に、イマジネーションを膨らましたそうです。
映画『ある男』ラストや浮気など考察まとめ
本記事では映画『ある男』についてまとめてみました。
- ラストシーンの意味(絵画・バーの男)
- 浮気相手のシーンの意味
- 実話なのか・モデルはいるのか
について考察・解説しました。
人は、相手や環境によって接し方・性格が変わるもの。
もし、戸籍が変わったり、見知らぬ土地に連れていかれたりしたら、これまでの“自分”を維持したり証明するのは難しいかもしれません。
自己のアイデンティティーとは何か、考えさせられる映画でした。